創業応援
創業者ストーリー
宮代町道佛の閑静な住宅街にあるドッグサロン~One for Dog~。A級ライセンストリマーとして長年トリマーの育成に関わってきたオーナーの齋藤さんは、愛犬文化の普及と新しいドッグサロンのビジネスモデルを確立しようと挑戦を続けています。そんな齋藤さんにご自身の思い出を含めてお話を伺いました。
愛犬″ペー″への想い
なぜトリマーになられたのですか?
私の祖母はブリーダーをしていて、父親が珍しい犬種を飼うのが好きだったので、いつも犬が身近にいました。高校卒業後、犬と関わる仕事がしたいと思い、生まれ育った山形県から上京し、動物看護師の専門学校へ入学しました。一人っ子でしたのでいずれ地元に戻ろうと考えていましたが、動物看護師では独立が難しいのでトリミングスクールへ入り直しました。その道へ進んだのは母が理容師だったのも影響していると思います。
子どもの頃はどうでしたか?
私は兄弟がいないので、子どもの頃は飼っていたシーズーのペーが兄弟のような存在でした。暇になればペーをかまって、随分しつこくしたこともあります。ぺーは嫌がりながらもそんな私に付き合ってくれて、今思えば可哀想なことをしたなと思います。犬に関わる仕事をすることは、大好きだったペーへの償いというか、ぺーのように飼い主に振り回される犬を助けたいというか、そういう想いが強かったのかもしれません。
犬の幸せは飼い主さん次第
One for Dogは普通のドッグサロンとは違うようですが
One for Dogでは″トリミング″の他に″しつけ教室″ ″お手入れ教室″の3つのメニューがあります。しつけ教室では私が犬にしつけをするのではなく、飼い主さんが正しいしつけを実践できるように指導しています。お手入れ教室は10歳以上の高齢犬になると医療設備がないドッグサロンでの受付を断られることがあるのですが、そうなると動物病院でトリミングを受けるか、新しいドッグサロンを探すことになります。高齢になってから担当のトリマーや環境が変わることは犬にストレスを与えかねませんので、できれば違う方法でお手入れが続けられる方がいいと思います。
お手入れ教室は人気だそうですね
はい、「こんな教室を探していた!」と遠方から通って来られる方もいます。皆さん通われる理由は様々ですが、トリミングとトリミングの間の日頃のお手入れを飼い主さんができるようになると、毛もつれの防止や健康チェックにつながり、愛犬が日々健やかに過ごせるようになります。また、愛犬との将来を見据えて今のうちから学んでおこうという飼い主さんも多く通っています。
飼い主さんと育む″愛犬文化″
愛犬文化とはどういうことでしょうか?
一般的には″犬文化″と言うのでしょうが、私は″愛犬文化″と言っています。世の中には犬を飼っている人、飼っていない人、そして犬が好きな人も嫌いな人もいます。その中で犬と心地よく暮らすためには飼い主さんの行動一つひとつがとても大切になってきます。私が師事した方の著書に「犬は文化の鏡」という言葉があるのですが、飼い主さんのモラルが高いということはその地域の愛犬文化度の高さの象徴でもあるのです。散歩のマナーや公園の使い方、愛犬の教育も含め飼い主さんが正しい知識を持ち、行動することで愛犬文化が育って行くのだと思います。
飼い主さんの行動が大切ということですね
そうですね、これから犬を飼おうと考えている方たちは、身近にいる犬を飼っている方にアドバイスを求めることが意外に多いのです。ですから私のサロンに通われている飼い主さんに正しい知識をお伝えすれば、これから犬を飼おうと考えている方へも影響力があると考えています。飼い主さんにいいお手本になってもらうことが大切だと感じます。
災害時にも対応できる強み
今回の緊急事態宣言の期間中はどのような状況でしたか?
今回のSTAYHOME期間中、いろいろな大型ショッピングモールのペットサロンが休業しました。そういう施設を利用していた方たちは行くところがなくなってしまって個人のドッグサロンへ問い合わせが殺到しました。でも、もともとトリマーが不足していますので、私を含め個人のドッグサロンでの新規受け入れには限界があり、仕方なく、飼い主さんの自己流でお手入れをされていた方もいたようです。今回に限らず、大規模な災害が起こった時でも自分でお手入れができる技術を身につけていれば、愛犬に不快な思いをさせずに済みますよね。
トリマーが足りないのですか?
私はトリマーとしてペットショップ勤務を経て、トリミングスクールで講師としてトリマーの育成に関わってきました。トリマーを目指す人の中で多いのが、犬が好きでカットが好きという若い女性です。でもトリマーの仕事は立ち仕事で大型犬を扱う事もあるので体力が必要ですし、結婚を機に辞めてしまう方が多いのです。そのためトリマーの職業寿命が短く、業界全体としてトリマーが少ないのです。
宮代町で新たなビジネスモデルを
どうすれば長く続けられるのでしょうか
飼い主さんへ正しい知識と必要な技術をお伝えできる身近な存在がトリマーなのだと思います。そのトリマーの仕事を継続していくためには収入を安定させ、トリマーの職業地位を上げていくことが必要だと思います。そこでトリミングとしつけ教室、お手入れ教室の3つの事業を展開するビジネスモデルを考えました。それが実際に具体化できるかを私自身がチャレンジしたいと思い、このお店を始めました。
宮代町に来てみていかがでしたか?
以前は横浜に住んでいたので坂が多くて大変でしたが、宮代町は道幅も広く平坦で車が来ない遊歩道が充実しているし、何より自然が豊かなので犬を飼うにはとても良い環境だと思いました。お店を始めてみると町外のお客様からも羨ましいという声を多く聞きますので、恵まれた環境なのだと思います。
地域のみなさんと一緒に
講演会やセミナーを行っているそうですね
はい、小学校のPTAでの勉強会や進修館のチャレンジ企画としてセミナーを開催したり、地域のつながりの中でチャンスを頂いています。また″One for Dog トライアル!″という犬本来が持っている隠れた能力を飼い主さんが引き出し、一緒に楽しむスポーツイベントを定期的に開催しています。犬を理解し、みんなが楽しく暮らすことができるように、これからもいろいろな企画をして行こうと思います。
これからやってみたいことはありますか?
飼い主さんと愛犬が一緒にマラソンを走る″ドッグマラソン″のような犬と一緒に楽しめるドッグスポーツをやってみたいです。その給水ポイントとして町内の飲食店を巡るのも楽しいかなと思います。町と協力して″犬″を通じて楽しいことをしたいです。
これから宮代町で起業する方へのメッセージをお願いします
事業をはじめるには宣伝が重要ですが、宮代町は町民同士や行政との距離が近いので、誠実に仕事をしていれば口コミで情報が広がって行きます。地域のコミュニティからたくさんの恩恵が受けられるのは、宮代町の大きな魅力だと思います。
※この記事は2020年7月に取材したものです。
齋藤 大(さいとう だい)
昭和52 年 山形県酒田市 生まれ
巳年・ 天秤座・ A 型
One for Dog(ワンフォードッグ)オーナー
お酒を嗜むのが好きで宮代町の飲食店を渡り歩くのをいつも楽しみにしています。好きな食べ物は店主からの「今日これオススメ」。
YouTube チャンネル「 One for Dog TV 」も随時配信 しています。
One for Dog(ワンフォードッグ)
所在地 宮代町道佛 2-18-20
TEL 0480-53-6864
営業時間 8:00-19:00 (予約制)
定休日 不定休