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宮代の匠

先々代が創業した会社を受け継ぐ、若き三代目。建築用材木や建築資材はもちろん、無垢材カウンターやテーブル材など、天然木の素材を豊富に取り揃え、地域の建築現場を支えている。厳しい建築の世界にあっても、温和で気配りの行き届いた人柄から、多くの信頼を寄せられている坂巻繁一社長。先代の介護と仕事の両立や、地域との関わりを育みながら事業に向き合う姿勢を伺いました。



現在までの経緯を教えてください
家業をすぐに継いだわけではなく、学校を卒業後に春日部の設計事務所に勤めました。そこの社長は仕事ぶりだけでなく、人柄も周囲から尊敬される方で、叔父から「まずは長男としての生き方を学んでくると良い」と勧められたのもきっかけでした。その後、宮代に戻り現在の仕事を継ぎましたが、設計を学んだ経験は材木の仕事にも大いに役立っています。


介護と仕事について
一人暮らしの父が車いす生活になったため、今は介護をしながら仕事をしています。どうしても無理になったら施設に入れるしかないのだけど、できるうちは面倒見てあげたいし、長生きしてほしい。仕事と介護の両立は簡単なことではありませんが、日中はデイサービスを利用し、その間に仕事を済ませるようにしています。父が帰宅後は食事や就寝までの世話を行い、遠方の現場に行くときはケアサービスを活用し、弟やスタッフにも助けてもらっています。下の世話など大変なことも多いので、介護を妻任せにするのは無理ですよ。現在は春日部の自宅に帰れる日は少なく、宮代で二拠点生活をしながら仕事をしています。
以前は飲みに誘われると面倒に感じることもありましたが、今では声をかけてもらい外に出られるとホッとします。食事を作らず食べられることや、これまで当たり前のように用意してもらっていた食事が、実はとてもありがたいことだったのだと、あらためて感じています。


現在の仕事について
建築資材や材木を扱う上で、設計の経験が大きな力になっています。材木屋は流通の通過点なのですが、単なる流通の通過点で終わるのではなく、図面を読み、適材を選び、番号を振り揃えてセットするなど、付加価値を持たせて届けています。
図面通りに材木を並べて揃えて配達するのは、実は私ではなく、とても腕のいいスタッフがいて、そのスタッフだからこそできる仕事なんです。会社は私ひとりで成り立つものではなく、現場を支えてくれるスタッフのおかげで続けられています。本当にありがたいことです。
先代が競りで仕入れたこだわりの材木をインスタグラムで紹介したら、『良い材木を扱っている』と評判になり、最近は注文も増えています。先日は地元の設計士さんが都内の店舗を紹介してくれて納めてきました。こういう特徴ある材木は、やっぱり都内のこだわりのお店でテーブルやカウンター材として使われることが多いですね。


地域との関わり
宮代町商工会では副会長を務め、ロータリーやライオンズクラブなどにも加盟しています。時には断れない付き合いもありますが、そうした場に入らなければ出会えなかった職種の方と話すことができ、自分を知っていただいたり、情報を得られたりと、自然と仕事の幅が広がっているように感じています。
このTシャツも商工会の仲間だった方が地元の南伊豆に帰って始めたブランドです。地元を盛り上げたいという気持ちに共感してしまうんですよね。


事業に対する考え方
かつてこの地域は川の流れを利用して材木を運ぶことができ、多くの材木屋が存在していました。しかし、安価な外国産資材の台頭やハウスメーカーによるプレカット材の普及により、その数は減少していきました。
そのような中で坂巻材木店は、会社を大きくすることを目的とするのではなく、「材木屋にしかできない仕事がある」との思いを持ち続けていきたいと思います。材木屋としての役割を守り続け、コンサルティングもできる材木屋でありたい。法律や材木の知識を生かし、地元の工務店がハウスメーカーに負けない力を持てるよう支えていきたい。
そのために自分自身も学びを重ね、職人さんたちが安心して仕事に打ち込める環境をつくっていきたい。地元工務店を中心に、地域全体が元気になっていけるような仕事を、これからも続けていきたいですね。
これから宮代町で創業する方へひとこと
この町にはまだまだ多くのチャンスがあります。未完成だからこその面白さがあると思います。ぜひ、自分なりに見つけて挑戦してみてください。
※この記事は2025年9月に取材したものです

坂巻 繁一(さかまき しげかず)
昭和43年生まれ
申年・水瓶座・B型
資格:2級建築士

有限会社 坂巻材木店
建築用材木・建築資材・無垢材カウンターやテーブル材などの天然木も豊富に取り揃えています。
住所:宮代町逆井256
電話:0480-32-4300